精神科治療になぜ教育が必要か? 理性の役割とは? 複数のパラメーターのうち、どれを重視するか? #早稲田メンタルクリニック #精神科医 #益田裕介

00:00 OP
00:53 「現実」とは
03:55 ストーリーを作り替える
08:24 理性を使って解決すべき問題

本日は「なぜ精神科臨床において教育や学びが重要なのか」というテーマでお話しします。

精神科というのは自由に話せば良い、自分の気持ちを表現してそれを受け止めてもらえば良くなっていくと言ったりします。
知識だけで必ずしも治っていくわけではないのですが、そうは言っても、知識は重要なのです。

今回はなぜ知識が重要なのかということをテーマにお話ししようと思います。

■「現実」とは

まず「現実とは何か」という話をから始めようと思います。

単純に言うと、現実というのは「物理的な現実」と「社会的な現実」というものに分かれます。
人間は、目から入ってくる情報を脳内で意味付けをして、社会的な現実に切り替えることで理解しています。

どういうことかと言うと、例えば「お金」というのは社会的な現実です。
でも紙や金属というのは物理的な現実です。

「山」というのは社会的な現実。山や富士山は社会的な現実です。意味付けしているから。
土が盛り上がってる場所、岩などが加わって盛り上がっている場所は物理的な現実です。

「男性」というのは社会的な現実です。
ただ、オスの人間というと物理的な現実。
「医師」というと社会的な現実だし、中年のオスの人間というと物理的な現実です。

本来、意味が全くないところに人間は名付けることによって社会的な現実を生み出しています。
本来はそんなものはないのに、勝手に常識、社会のルールなどを作ることで、勝手に自分自身を構造化したりルールを作ることで社会秩序を保ったり、みんなで言葉を交わしたり、意思疎通したりします。

動物たちが住んでいる世界というのは、基本的には物理的な現実です。
人間は社会的な現実に生きています。

社会的な現実の中に生きている、物理的な現実にいるはずの人間が、言葉によって社会的に意味付けることによって、社会的な現実の中で生きているのですが、これがなかなか皆が皆、共通する現実の中に生きられなくなったのが現代です。

昔は終身雇用制だったり、同じようなものを目標としたり、同じようなものが価値がある、同じようなものを生きがいにしていたんですよね。
夕方に帰ったらビール飲みながら巨人の試合を見る、というのが人生の楽しみなんだと刷り込まれていた部分があったけれど、今は価値観が多様です。

多様なので迷っているということです。
多様だから困るんですよ。

多様だからこそ選べる人は幸せに生きていけるけれど、選べない人で他人を見比べては自分は劣っているのではないかと思っている人は、うつになっているというのが現代の苦しみだったりします。

■ストーリーを作り替える

結局治療とはどういうことかというと、この社会的な現実を、自分なりに生きやすい現実にストーリーを作り替えてあげるというのが重要です。

何が幸せか、何が豊かなのか、そんなのは決まっていません。
動物としては衣食住に事足りていれば幸せなはずですが、人間はそう思わないようにできています。

お金がないと不安になってしまう。
実際、貧困の問題もあったりするかもしれないけれど、でも絶対的な貧困じゃなくてもみんなお金がないと思って苦しんでいたりします。

だけど自分なりの幸せというものができてしまえば、構造ができてしまえばそれなりに楽しく生きていけるというのが現代の話だし、精神科の患者さん以外の人は、それなりの枠を自分なりに見つけたり拾ってきたり、真似たりしながら幸せに生きているという感じです。

これはなかなか想像がつきにくいかもしれないですけど、片づけとも似ています。
インテリアデザイナーみたいな人は片づけがすごく上手いかもしれないのですが、多くの人はそんなに片づけはうまくありません。でも下手ではないんですよね。

僕の部屋も決してきれいではないと思います。
だけど荒れてはいません。

でも患者さんとか、発達障害の人はゴミ屋敷化してしまうとか、荒れてしまいます。
整理が付いてない。
それは自分なりにこれはここにしまう場所なんだ、これはこういうところにしまった方が良い、ということを構造化できていないということです。

物理的に部屋のものを片付ける、洋服はタンスにしまうみたいな形で、自分の生き方とか、習慣、どういうものを食べるべきか、どういう価値観を持つべきか、ということさえ本当は構造化できるのです。片付けができるのです。
洋服はタンスにしまうように、「自分の生きがいはこれだ」と所定の位置に落とし込むことができます。

それが何かというと、「言語化」だったり、「物語化」とか呼ばれるものです。
知識をつけるとか名付けるとか、自分の気持ちをこういうものに表現してみるとか、それをストーリーとして組み上げてみる。
自分の人生はこうだったとか。自分の人生はこういう連続だったんだと言えるということなんですね。

だから僕もよく言っていますよね。
僕は昔自衛隊にいてとか、わかりやすい物語を作っていますよね。
僕はもともと自衛隊にいて、組織というものに憧れて入ったけど全然合わなくて抜け出してきて、開業したけどそんなに最初はうまくいかなくて。
それで、患者さんに説明ができないからYouTubeを始めて、YouTubeを始めたらなぜか知らないけれどバズッたと。
バズッたから困って松崎先生に「YouTuberの会を作ってください」と懇願した。
こういう物語化ということです。

でもほかにもいろいろなことがあるんですよ。
僕の人生にもこの一本の直線だけではなく、いろいろな枝葉もあるけれど、それをパッと切って一本の道にしているという感じですね。
こういうことが生きやすさにつながるんですよね。
多くの人はそれができるのですが、患者さんは苦手な人が多かったりします。

では、どういう価値観を持てば幸せになれるんですか、どういう風にやればいいんですか、片付けが苦手なんですけどどうしたらいいんですか、などと患者さんによく聞かれます。

リストカットしてしまうのですがどうすれば良いですかとか、うつになるけれどどうしたら自分のことを褒められますかとかよく言われます。

ですが、これも人それぞれ違うので「こういうものだ」とはなかなか言いにくいことがあります。
それぞれに合わせてうまい片付けの仕方、物語のつくり方があります。
ざっくり言われても曖昧だし、よく聞く話でしかなかったりします。

■理性を使って解決すべき問題

そもそもそんなに単純に説明ができるものだったら、本能の中に組み込まれているんですよね。
あとは感情の中に組み込まれてるというか。

皆が持った方が良いものはもうすでに組み込まれています。
美味しいものが食べたい、みんなに認められたい、人から評価されたい、若くありたい、キレイでありたいというのは、本能とか感情に組み込まれていて、それがアルゴリズムとして僕らを動かしてくれているのです。

ですが、もうちょっと細かい問題や複雑な問題になってくると、本能や感情レベルだと解決ができなくて、頭を使って、意識を使って、理性を使って解決していかなければいけない。
理性を使って解決すべき問題というのはとても複雑な問題なのです。

社会というのはとても複雑なんですよね。
膨大なパラメーターの上に成り立っている。

その時に相手はこう思って、今はこういう状況だからこれをした方が良いとか、どれを重視するかいうのは臨機応変に変わってくるので、本能や感情レベル、マニュアルには落とし込めません。

膨大にあるパラメーターの中でどれを重視すべきなのかというのは、理性を持ってその瞬間、瞬間で考えていかなければいけない。
言語化、物語化、マニュアルを複数用意しつつ。けれども最終的には理性を持って、意識を使って、自分に最適なものをその瞬間、瞬間で選んでいかなければいけない。

精神科臨床というのは、その瞬間瞬間の選ぶ作業を、診察室の中やカウンセリングの場でも良いですけど、一緒に考える場所であったり、こういう風に考えたら良いんだなということを一緒に学ぶ場所です。

リアルタイムで起きているということは、治療者と患者さんの「一対一の人間関係」なんですよね。
ここにあるものというのは本当にリアルタイムで起きているから、その時の感情の表し方、主治医に対してどう思っているのかというのは、本当に今まさに起きていることで、一緒にデモストレーションできます。

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精神科治療になぜ教育が必要か? 理性の役割とは? 複数のパラメーターのうち、どれを重視するか?

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自分はダメなやつだ、だから〇〇すべきなんだ。を解説します

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   早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介

【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。

【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4

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